最近、商品ロゴやノベルティ、ブランドステッカーなどで「立体感のあるシール」を見かける機会が増えています。
その中でもお問い合わせが多いのが、エポキシシール(ポッティングシール)とボンボンドロップシールです。
どちらも透明な樹脂を盛り上げることで、通常の平面的なシールとは異なる「ぷっくり」とした立体感を表現できます。しかし、実際には樹脂の性質や加工方法、見た目、適しているデザインなどに違いがあります。
「エポキシシールとボンボンドロップシールは何が違うの?」
「どちらを注文すればイメージ通りになる?」
「厚みのある立体シールを作りたいけれど、デザインデータはどう作ればいい?」
このような疑問を持つ方に向けて、印刷・プリプレスの実務経験をもとに、それぞれの特徴と使い分けをわかりやすく解説します。
エポキシシール(ポッティングシール)とは?
エポキシシールとは、印刷したシールの表面に透明なエポキシ樹脂などの樹脂を盛り上げて硬化させたシールです。
「ポッティングシール」「ドームシール」「樹脂シール」などと呼ばれることもあります。
平面的なシールに透明樹脂を加えることで、表面がドーム状に盛り上がります。
そのため、
- 高級感のある光沢
- ガラスのような透明感
- 指で触れたときの立体感
- ロゴや文字の存在感
などを出しやすいのが特徴です。
エポキシ樹脂を盛ることで立体感が生まれる
通常のシールは、印刷面と表面がほぼ平坦です。
一方、ポッティング加工では印刷後に透明樹脂を塗布し、表面張力によって樹脂を盛り上げた状態で硬化させます。
この「盛り」の厚みによって、シールを横から見たときのドーム形状が生まれます。
ただし、樹脂を厚くすればするほど良いというわけではありません。
サイズや形状によっては、樹脂が均一に広がらなかったり、端部に流れたりする可能性があります。
ボンボンドロップシールとは?
ボンボンドロップシールも、透明樹脂によって表面を立体的に仕上げるタイプのシールです。
名前の通り、「ボンボン」とした丸みのある立体感を特徴とする商品・加工名称として使われています。
ただし、ここで重要なのが、「エポキシシール」と「ボンボンドロップシール」は必ずしも同じ基準で分類される言葉ではないという点です。
エポキシシールは主に「樹脂を使った加工方法・素材」に着目した呼び方です。
一方、ボンボンドロップシールは、メーカーや印刷会社によって商品名・加工名称として使用される場合があります。
そのため、発注時には名称だけで判断せず、
「どの樹脂を使うのか」「どの程度盛り上がるのか」「どのような表面形状になるのか」
を確認することが重要です。
エポキシシールとボンボンドロップシールの違い
両者の大きな違いは、単純に「樹脂シールかどうか」ではありません。
実務上は、樹脂の種類、硬化方式、仕上がりの形状、厚み、用途などを確認して比較する必要があります。
比較表
| 項目 | エポキシシール(ポッティング) | ボンボンドロップシール |
|---|---|---|
| 基本構造 | 印刷+透明樹脂 | 印刷+透明樹脂 |
| 立体感 | 強い | 強い |
| 表面 | ドーム状・光沢 | 丸みのある立体的な仕上がり |
| 高級感 | ◎ | ◎ |
| 光沢感 | ◎ | ◎ |
| 触感 | 硬質感が出やすい | ぷっくりした印象 |
| 主な用途 | ロゴ、銘板、ブランドシールなど | ノベルティ、キャラクター、装飾用途など |
| デザインとの相性 | ロゴ・細かい図柄にも対応しやすい | 大きめの図柄やポップなデザインと相性が良い |
| 注意点 | 樹脂の厚み・気泡・硬化状態 | 形状・盛り量・樹脂の広がり |
| 呼び方 | ポッティング、ドームシールなど | 商品・加工名称として使われる場合がある |
※実際の仕様は印刷会社・加工設備・使用樹脂によって異なります。
どちらを選べばいい?用途別に解説
ロゴを高級感のある仕上がりにしたい
企業ロゴやブランドロゴなど、シンプルなデザインを高級感のある仕上がりにしたい場合は、ポッティングタイプが適しています。
例えば、
- ブランドロゴ
- 店舗ロゴ
- 自動車関連のエンブレム風ステッカー
- 機械・製品の銘板
- オリジナルグッズ
などです。
透明樹脂によって光が反射するため、通常の光沢シールよりも存在感を出せます。
キャラクターやポップなデザインに使いたい
キャラクター、イラスト、アイコンなどには、丸みのある立体的なドロップシールがよく合います。
特に、
「平面印刷ではなく、触ってわかる立体感を出したい」
という場合に向いています。
エポキシシールのメリット
1. 高級感が出やすい
最大のメリットは、通常のシールにはない光沢と立体感です。
同じ印刷データでも、樹脂加工を施すことで製品の印象が大きく変わります。
2. 傷や摩耗から印刷面を保護できる
透明樹脂が印刷面を覆うため、一般的な平面シールと比較して印刷面を物理的に保護しやすくなります。
ただし、「樹脂加工=完全な傷防止・防水」ではありません。
使用環境によって耐久性は変わるため、屋外用途や水回りで使用する場合は、基材・インキ・樹脂を含めて確認する必要があります。
3. 触ったときの質感が特徴的
立体的な樹脂加工は、視覚だけでなく触覚にも訴求できます。
そのため、ブランドグッズやノベルティとの相性が良い加工です。
ボンボンドロップシールのメリット
1. かわいらしい立体感を出せる
名前の通り、丸みのある「ぷっくり」とした見た目を活かしやすいのが特徴です。
キャラクターやポップなロゴなど、親しみやすいデザインと相性が良いでしょう。
2. ノベルティとの相性が良い
スマートフォンケース、文具、パッケージ、グッズなど、デザイン性を重視する製品に使いやすい加工です。
3. 平面シールとの差別化がしやすい
同じデザインでも、立体加工を加えることで「特別仕様」のような印象を与えられます。
入稿データを作るときの注意点
立体シールで特に重要なのが、**「デザインデータだけで仕上がりを判断しない」**ことです。
通常のオフセット印刷やオンデマンド印刷とは違い、加工工程が追加されるためです。
細すぎる線に注意
非常に細い線や小さな文字は、樹脂加工後に見え方が変わることがあります。
特に、
- 小さな文字
- 細い抜き線
- 複雑な輪郭
- 極端に小さいロゴ
などは、事前に印刷会社へ確認することをおすすめします。
シールのサイズと形状を確認する
樹脂はシールの表面に流して加工するため、極端に細長い形状や複雑な形状では、均一な仕上がりが難しくなる場合があります。
特に小型シールでは、デザインよりも加工可能な最小サイズ・最小幅の確認が重要です。
印刷現場で多い「気泡」のトラブル
ポッティング加工で比較的注意したいのが気泡です。
樹脂の混合・塗布・硬化工程などで空気が入り込むと、表面や内部に小さな気泡が残ることがあります。
対策
発注者側では、
- 極端に小さいサイズを避ける
- 必要以上に複雑な形状にしない
- 本番前にサンプルを確認する
- 加工仕様を事前に確認する
といった対策が有効です。
大量発注の場合は、量産前の校正・サンプル確認をおすすめします。
樹脂が均一にならないトラブル
「中央部分はきれいなのに、端だけ薄く見える」
「一部だけ盛り上がり方が違う」
といった問題は、シールのサイズ・形状・樹脂量・塗布条件などが関係することがあります。
特に、細長い形状や複雑な外周形状では注意が必要です。
対策としては、最終製品と同じサイズ・形状でサンプルを作ることが有効です。
黄変・変色にも注意
透明樹脂は長期間の紫外線 exposure や使用環境によって、徐々に色味が変化する場合があります。
特に屋外で長期間使用する製品では、
- 使用する樹脂
- UV耐性
- 基材
- インキ
- 使用環境
をまとめて確認する必要があります。
「透明樹脂だから永久に透明」と考えないことが重要です。
エポキシシールは防水なの?
よくある質問ですが、エポキシ樹脂を使用しているだけで、シール全体の防水性能が保証されるわけではありません。
防水性は、
- 表面樹脂
- シール基材
- 印刷インキ
- 粘着剤
- シールの貼付対象
- 使用環境
などを総合して決まります。
屋外用・冷凍環境・水回りなどで使用する場合は、単純に「エポキシ加工だから大丈夫」と判断せず、用途を印刷会社に伝えて仕様を選定してください。
オリジナル立体シールを注文するときの確認ポイント
初めて注文する場合は、次の項目を確認すると失敗しにくくなります。
- シールの仕上がりサイズ
- シールの形状
- 基材の種類
- 印刷方式
- 樹脂の種類
- 樹脂の厚み
- 表面の光沢
- 屋内・屋外の使用環境
- 必要な耐久性
- 最小文字サイズ
- 最小線幅
- サンプル作成の可否
- 納品形態
特に重要なのは、**「何に貼るのか」「どこで使うのか」**を注文時に伝えることです。
同じデザインでも、屋内のノベルティと屋外で使用する製品では、必要な仕様がまったく異なります。
FAQ:
Q1. エポキシシールとポッティングシールは同じものですか?
基本的には近い意味で使用されます。
印刷したシールの表面に透明樹脂を盛り、ドーム状の立体感を出す加工を「ポッティング」と呼ぶことがあります。
ただし、使用する樹脂や加工条件は印刷会社によって異なるため、名称だけではなく具体的な仕様を確認することが重要です。
Q2. ボンボンドロップシールはエポキシシールと同じですか?
似た構造を持つ製品がありますが、必ずしも同一とは限りません。
「ボンボンドロップ」が商品名・加工名称として使用されている場合もあるため、樹脂の種類や仕上がり形状を確認してください。
Q3. エポキシシールは屋外で使用できますか?
仕様によって異なります。
屋外使用では紫外線、雨、温度変化などの影響を受けるため、樹脂だけでなく基材・インキ・粘着剤まで含めた耐候性の確認が必要です。
Q4. エポキシシールは防水ですか?
表面の樹脂自体に耐水性があっても、シール全体の防水性が保証されるとは限りません。
特にシールの端部や粘着面から水分が侵入する可能性があります。
Q5. 小さい文字でも作れますか?
加工自体は可能でも、文字が小さすぎると印刷や樹脂加工によって視認性が低下する場合があります。
重要な文字がある場合は、本番前に実寸サンプルで確認するのがおすすめです。
Q6. 普通のシールより高くなりますか?
一般的には、通常のシール印刷に樹脂加工などの追加工程が必要になるため、平面シールより高くなる傾向があります。
ただし、価格はサイズ・数量・素材・形状・加工方法によって大きく変わります。
失敗例:
失敗例1:名前だけで加工方法を判断してしまう
「エポキシ」「ポッティング」「ドロップ」などの名称は、印刷会社によって意味や仕様が異なる場合があります。
対策:
樹脂の種類、厚み、仕上がりイメージを確認しましょう。
失敗例2:画面上のデザインだけで仕上がりを判断する
Illustratorなどの画面上では、立体感や樹脂の光沢を正確に再現できません。
対策:
重要な案件では、実寸サンプルを確認してください。
失敗例3:細かすぎるデザインをそのまま入稿する
細い線や小さな文字を多用すると、印刷・カット・樹脂加工の各工程で再現性が低下する可能性があります。
対策:
立体加工を前提に、文字サイズや線幅に余裕を持たせます。
失敗例4:屋外で使うのに耐候性を確認していない
「透明樹脂で覆われているから屋外でも大丈夫」と考えてしまうケースです。
対策:
屋外用途の場合は、耐候性・耐水性・耐熱性など必要な性能を最初に伝えましょう。
失敗例5:複雑な形状で大量発注してしまう
細かい凹凸や極端に細長い形状では、樹脂の流れ方に影響することがあります。
対策:
量産前に、実際の形状・サイズでサンプルを作ることをおすすめします。
まとめ:
エポキシシール(ポッティングシール)とボンボンドロップシールは、どちらも透明樹脂による立体感を活かしたシールとして人気の高い加工です。
ただし、「エポキシ」「ポッティング」「ボンボンドロップ」という名称だけで仕上がりを判断するのはおすすめできません。
特に重要なのは、
- どのような樹脂を使用するのか
- どの程度の厚みになるのか
- どのような形状に仕上がるのか
- 屋内・屋外のどちらで使用するのか
- シールのサイズやデザインが加工に適しているか
を事前に確認することです。
高級感のあるロゴシールならポッティング加工、かわいらしい立体感を活かしたノベルティならドロップ系の加工というように、目的に合わせて選ぶとイメージに近い仕上がりになります。
初めて立体シールを制作する場合は、名称だけで判断せず、実物サンプルや加工仕様を確認してから量産することが、印刷トラブルを防ぐ最も確実な方法です。